東京カメラ部10選 井上浩輝氏 × カナダ・オンタリオ州観光局 田中恵美氏 × エイチ・アイ・エス 田島裕司氏「建国150周年記念  あったかい、冬カナダ“冬カナダの魅力と冬の撮り方~ナイアガラとトロント編”」



2017年4月28日(金)~5月6日(土)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2017写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。

5月6日(土)に行われたH.I.S. & オンタリオ州観光局のトークショーでは、東京カメラ部10選 井上浩輝氏 × カナダ・オンタリオ州観光局 田中恵美氏 × エイチ・アイ・エス 田島裕司氏に登壇いただき、「建国150周年記念  あったかい、冬カナダ “冬カナダの魅力と冬の撮り方~ナイアガラとトロント編”」というテーマでお話いただきました。

東京カメラ部10選 井上浩輝氏 × カナダ・オンタリオ州観光局 田中恵美氏 × エイチ・アイ・エス 田島裕司氏「建国150周年記念  あったかい、冬カナダ“冬カナダの魅力と冬の撮り方~ナイアガラとトロント編”」

田島「みなさんこんにちは。今年はカナダ建国150周年という記念すべき年になります。そんなカナダに、2014年東京カメラ部10選 井上浩輝氏さんに行っていただきました。井上さんの写真を拝見しながら旅を振り返っていただき、冬のカナダの魅力をご紹介できればと思っております。そしてオンタリオ州観光局の田中恵美さんにもご登壇いただきまして、オンタリオ州の魅力についてご紹介させていただきます」

井上「ご紹介いただきました井上です。よろしくお願いします。一般的に冬のカナダって寒々しいイメージで、野生動物を撮るためだったらいいけれど街を歩くなんてことができるのかな、と心配していましたが、実際に行ってみるとそんなことがもうどうでもいいと思ってしまうぐらい楽しい所でした。今回はそんな街の楽しみ方も提案できたらなぁと思います。どうぞよろしくお願いします」

田中「みなさんこんにちは。オンタリオ州観光局日本事務所の田中と申します。オンタリオ州はカナダの東部に位置しております。カナダ最大の都市・トロントが中心にありまして、現在は羽田空港から直行便がでていて非常に簡単に現地まで行くことが可能です。カナダの首都オタワもありますし、なんと言っても三大瀑布の一つ・ナイアガラの滝が最も有名なのではないでしょうか。井上さんのお写真と共に、現地の最新情報などもご紹介させて頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします」

東京カメラ部10選 井上浩輝氏 × カナダ・オンタリオ州観光局 田中恵美氏 × エイチ・アイ・エス 田島裕司氏「建国150周年記念  あったかい、冬カナダ“冬カナダの魅力と冬の撮り方~ナイアガラとトロント編”」

田島「それでは、まず簡単にカナダの紹介をいたします。首都はオタワ、10の州と3つの準州から成り、世界第2位の面積を誇る国なのですが人口は3,600万人位しかいないんです。自然と共存する街が多く、多様な人種や移民が多いが故に、様々な文化が入り混じっている“人種のモザイク”とも言われています。そして冬のカナダの絶景の代表格といえば、やはりオーロラです。他にも冬のカナダで見られる絶景に“アイスバブル”があります。アブラハム湖という人工湖があるのですが、水中にある植物から発生するメタンガスがあまりの寒さに凍ってしまって、クラゲが凍っているかのように見える現象です。季節の風物詩として有名な景観です」

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田島「続いてはケベックのセントローレンス水路です。セントローレンス水路が凍ったところに太陽の光が反射されると、非常に幻想的な風景が昼間でも見られるんです。カヌーを浮かべて漕いで氷の上ではみんなで押すといったアクティビティも冬は楽しめます。冬は同じようにナイアガラの滝も凍ってしまうことがあるんです。世界三大瀑布も凍る寒さってすごいですよね」

東京カメラ部10選 井上浩輝氏 × カナダ・オンタリオ州観光局 田中恵美氏 × エイチ・アイ・エス 田島裕司氏「建国150周年記念  あったかい、冬カナダ“冬カナダの魅力と冬の撮り方~ナイアガラとトロント編”」

田島「今回の井上さんの旅の行程を簡単に振り返ってみます。まず日本から直行便でトロントに到着したあとポートホープに移動し、更に移動してアマースト島で白フクロウの撮影をしました。本日はトロントとナイアガラを中心にお話させていただければと思っています。トロントはオンタリオ湖の近くにありまして、そこから車で1時間半くらい移動するとナイアガラフォールズがあります。実はナイアガラの近辺も、ワインの産地なんですよね?」

田中「そうなんです。ナイアガラ半島は北緯45度に位置していてフランスのボルドー地域と似た気候なので、ワインを作るブドウの栽培に非常に適しているんです。今現在ナイアガラ半島には約60以上ものワイナリーがありまして、非常に希少価値の高いワインとしても有名です。ただヨーロッパと違うのが、家族経営でこぢんまりとワインを作っているところが多く、海外に輸出するのは本数的に難しいということで、日本にもなかなか入ってこないんですね。とは言え、カナダの約80%のワインはこのナイアガラで作っているので、皆さまにはぜひ現地でお試しいただきたいですね」

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田島「井上さんにもワインを召し上がっていただきました。こちらがテイスティングの様子ですね。ワインのお味はいかがでしたか?」

井上「すごく美味しかったです。意外だったのが家族経営の規模でワインを作っているところが多くて、働いている人が片手で数えられる程度なんですよね。彼らが自分たちでラベルを貼り、ワインを詰めるのもやり、テイスティングのときにはお客さんに対応してくれるんです」

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井上「こんなお城のようなところでワインを作っているんです。この地下にワインを作る施設があって、裏は全部ブドウ畑なんですよ。ここに高級車が来たり、ときには荷台がある車が来てたくさんのワインを買っていくという、そういう素敵な所でした」

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田島「こちらがアイスワインですね。アイスワインについて、田中さんご説明いただけますか?」

田中「その名の通りなんですが、気温がマイナス8度以下になったとき、ブドウが凍った実から果汁だけを絞り出して作るのがアイスワインです。一粒あたり数滴だけの甘い果汁を使うので、非常に品のあるワインです。なかなか日本に入ってくることはなく、現地でも1本5,000円くらいが相場です」

井上「そうなんです。僕の中でワイナリーに行ってワインを買うという文化がどういうものかあまり分からなかったのですが、海外に輸出するものとお店に持っていくもの、ここで売っているものはそれぞれ違うんですね。酸化防止剤が入っている、入っていないのもその一つの違いで、味が全然違うんですよ。現地で買うからこその味わいがあるということですね」

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田島「そしてナイアガラの滝です。年間カナダ側だけでも1,500万人の観光客がいらっしゃるんです。フランスのモンサンミッシェルでも年間300万人なので、すごいことがわかりますよね。川を挟んでアメリカ側とカナダ側に分かれているんですが、この地形を見ていただいて分かるように、圧倒的にカナダ側の方がいい風景なんです。写真撮るならどう考えてもカナダ側なんですよね。こちらはテーブルロック展望台からの眺めです。岩の部分からカナダ滝側がまっ正面に流れ落ちるところがご覧いただけます」

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井上「滝の裏側に行く道にちょっとだけ出ることができる場所があるんですが、そこからずぶ濡れになりながら撮りました。寒くなると段々と下から氷が上がって氷結するそうなのですが、すごいですよね」

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田島「そしてトロントに入っていきます。トロントの語源は”ファースト・ネーション”、先住民の言葉で“人が集まる場所”という意味があるそうですね」

田中「トロントは先ほどのお話にもあったように、“人種のモザイク”とも呼ばれております。たくさんの移民が共存しながら住んでいる街としても有名です。トロント市内では100言語以上もの言葉が話されているとも言います。ダウンタウンを中心に色々な移民の街があって、たくさんの国の食べ物や文化をトロントで楽しんでいただけるんです」

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井上「こちらがトロントのCNタワーです。コンクリートでこれだけの高さのものを作るなんて、ちょっとおどろおどろしいタワーにも見えましたね」

田中「高さは553.33mで、2007年までは世界一高い電波塔だったんですよ。上は展望台になっていまして、360度回転するレストランもございます。一時間かけて、オンタリオ湖畔からトロントの街が一望できるんです」

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井上「そしてこちらは図書館の中の一枚です。トロントには100前後の公共の図書館があるそうで、そのうちの一つです。どうやらこの図書館は児童書を専門に揃えることを得意としている所らしく。建築としては結構かっこいい形ですよね」

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田島「そして、こちらはトロントの街中の風景を切り取った一枚ですね」

井上「日本の街とあまり変わらないんじゃないかというような、そんな風景ですね。大きく派手な看板がいっぱいあって。ユニクロやティムホートンズの広告など、世界中何処にでもあるものが集まっているんですね」

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井上「新しいビルと古いビルが同居しているというのも、やはりトロントだったのかなぁと思いますね。すごく大事にビルを使っているので、外観は古くても中は新しいビルと同じようにきれいなんです」

田島「新旧と、そして赤と青とのコントラストが非常にきれいな一枚ですよね」

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井上「街のあちこちにスケートリンクがオープンしているんですね。この写真は市庁舎の前のスケートリンクなんですが、若い人たちが何人も何人も集まって来て、ずーっとぐるぐる滑ってるんですよ」

田中「トロントの人たちはみんな自分のスケート靴を持ってますから。カナダの首都オタワでは街中の川が凍ってしまうと自分のスケート靴を履いて氷の上を滑りながら会社まで行く、なんていう地域もあります」

田島「こういった低めのところから見上げるようなアングルで写すのは井上さんのお得意なスタイルですよね。わたし個人的に大好きな一枚です」

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田島「今回井上さんに行っていただいた、白フクロウの撮影、トロント、ナイアガラのツアーを弊社の方で商品を作りました。全6設定の各8名で、48名様限定のツアーになります。出発は冬の設定なのですが、ぜひお問い合わせいただければと思います。他にもカナダの多様な食文化のをテーマにしたパンフレットもございますので、ご覧になってみてください」

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田島「改めまして井上さん、今回の旅行はいかがでしたでしょうか?」

井上「寒さを大分覚悟していたのですが、暖房があちこち利いていたのですごく過ごしやすかったです。地下鉄も色んな路線があって移動しやすいですし、冬に行くと更に美味しい食べ物がたくさん揃いますので、最高の旅になるのかなぁと思います。あと何より昨日紹介した白フクロウを撮る旅もよかったですね」

田中「ナイアガラやアイスワインは冬の名物なので、ぜひ冬のオンタリオ州もお楽しみいただければと思っています。皆様ぜひお待ちしております」

田島「カナダといえばカナディアンロッキーやレイクルイーズ、紅葉など、夏や秋に行くイメージが強いと思うのですが、本日お話したように冬ならではの魅力もたくさんあります。ぜひお出かけいただければと思います。あと冬に飛行機に乗るメリットとしては、オーロラもタイミングと座席によっては見えるんですよね」

井上「そうですね。偏西風が北を回って吹いているときは、ルートによっては左側に座っているとオーロラが見えるかもしれません。帰りはその逆ですから、右側に席をアサインするっていうのも大事ですよね」

田島「弊社は写真と旅は非常に親和性が高いものだと考えております。今後も我々が、皆さんがカメラを持って世界にお出かけする一助になれればと思っています。本日はご清聴ありがとうございました」

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