東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」



2017年4月28日(金)~5月6日(土)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部2017写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは、人気フォトグラファー、写真業界関係者、歴代東京カメラ部10選などをお招きして、さまざまなテーマでトークショーが行われました。

5月4日(木)に行われた特別企画のトークショーでは、東京カメラ部10選 鈴木悠介氏、コンテスト入賞者 梅田厚樹氏、大貫絢子氏、東京カメラ部運営 塚崎氏にご登壇いただき、「Wedding/Family Photo」というテーマでお話しいただきました。

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

塚崎「東京カメラ部には1日約9,000作品ほどが投稿されているのですが、その中にはウェディング写真、カップル写真、ファミリー写真もかなりの数になってきています。とても素敵な作品が多いので我々も取り上げさせていただきたいのですが、カメラ部本体では1日7作品しか掲載していないので限界があるんですね。ただこういった分野で素晴らしい写真があるといったことを知っていただきたいですし、我々も機会をできるだけ提供していきたいと思い、今回のトークステージを開催いたしました」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

塚崎「それではまず大貫さん、作品を見せていただけますか?」

大貫「マレーシアに住んでいる外国籍の方が日本に来られたときにサプライズでプロポーズをするということだったのですが、雨が降ってきてしまって。ロケ地は本当はここではなかったのですが、雨を活かせてかつ日本らしい場所を考えてここで急遽撮影することになりました。雨がきれいに反射するようにビニール傘を買ってもらって、陽が落ちてから10~15分の薄暮という時間に現地に来ていただきました。陽が完全に落ちてしまうと空がこのような青にはならないので、この10分くらいの間に被写体の後ろにストロボを置いて撮影しています」

塚崎「かなり臨機応変に対応されているんですね」

大貫「そうですね。この日も機材が壊れるギリギリのところでした。コンビニの袋にストロボの頭だけを出した状態で撮影しています」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

塚崎「大貫さんがウェディングフォトを撮るようになった理由を教えていただけますか?」

大貫「2013年度の東京カメラ部写真展のコンテストに入選したことがきっかけで人生が変わりました。当時はサラリーマンとして働いていたのですが、写真だったら一生楽しみながら仕事ができるんじゃないかと思い、プロのカメラマンを目指しました。風景写真などのジャンルで生きていくのは大変だと思ったので、お金を稼ぐにはどうしたらいいのかと考え、ブライダルフォトの事務所に入ればコンスタントに仕事があるのではないかと思い至りました。OLをやりながらブライダルフォトの事務所が運営するスクールに通い、座学を3ヶ月、プロのカメラマンについてサブで撮影する現場を約1年経験し、その後その会社でプロデビューをしました。今は独立しています」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

大貫「こちらは千葉のとある結婚式場のプールなのですが、二次会の後に撮影をしたものです。二次会の後って披露宴後と比べると割と時間があるので、じっくりと撮影ができるんですね。風のなかった日で波紋が出ないため、プールにきれいに反射するんです。それが好きで、こういった場所を見つけると必ず撮影するようにしています。これも後ろからストロボを焚いていますね」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

大貫「打ち合わせのとき、新婦さんからこういったカットが欲しいと事前にお伺いしていました。この写真を撮るときに大事なのは真ん中にいる方々です。こういう可愛い写真を撮るためには、いい表情をしてくれる人たちを披露宴のときから目星をつけておくことが大事ですね。この方たちはお酒を飲んでとても楽しそうにしていたので、お願いをして前に来ていただきました。いいカットは二人だけで生まれるときももちろんあるのですが、誰かを入れるともっといい写真になるので、人選びも重要なことだとわたしは思っています。例えば大学の同期同士で結婚した方であれば、同じ大学の方々が集まって盛り上がることは間違いないので、そこに集中して近くにいるようにしています。写真の技術を磨くだけではなくて、婚礼の場合は人を見ないといい写真に繋がらないので、自分もそこを気をつけるようにしています」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

大貫「ウェディングはホテルウェディング、ゲストハウスウェディング、レストランウェディングの3つにだいたい分けられます。レストランを選ぶ方はそこの料理が気に入っているはずなんですね。なのでそのレストランで挙式をしたということを残してあげたいので、時間があれば料理の写真を撮るようにしています」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

塚崎「続きまして梅田さん、お願いします」

梅田「これを見た方は『前撮りかな?』と思うかもしれませんが、実は当日の写真なんです。披露宴が終わったあとに色々な条件が合った場合、タクシーに乗って移動して写真を撮っているんですね。このときは新宿の京王プラザホテルで挙式だったので、歩いて都庁まで移動しました。行ったことがある方はご存知だと思うのですが、夜の都庁はすごく暗いんです。人がいるところは光が当たっているのですが、それ以外は漆黒の闇です。僕がいつも使っている12mmのレンズも暗いので、撮影は大変でした。人物には前と後ろからライティングをして、手持ちで1/5秒、ISO2500で撮っています。自分が手持ちで撮影できるシャッタースピードの限界を把握して撮影しています」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

梅田「僕が”ウェディングポートレート”と呼んでいるものです。当日の姿ってこだわりの塊だと思うんです。ドレスだけじゃなくアクセサリーやヘアメイクもその日のために選んだもの。それをスタジオクオリティで残してあげたいと思って始めたものです。ちゃんとライティングされた写真って圧倒的に美しいんです。当日は寄り、引き、前から、後ろからなど100枚くらい撮影しているんです。この後ろから撮った写真は本人だけではなくてヘアメイクさんや衣装を作ってくれたお母様にも喜んでいただけて、色々な人を幸せにしてくれたと思います」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

梅田「これは披露宴の後に撮影した写真です。ウェディングフォトは逆境の連続です。見た目にきれいでもシャッターを切ったら写真がきれいになるような環境はウェディングにはあまりありませんし、時間もあまりない場合が多いんです。このときもすごくおしゃれに装飾された場所がありましたが、ここは逆光を全面に背負っているので普通に撮影したら主役の顔が暗くなってしまいます。しかも、このときは3分しか許された時間がありませんでしたので、頭をフル回転させて細かくポージングの指定や小物の配置などを行いました。『この写真が仮に10万円で売っていたとしたら買いたい』と思っていただけるような写真を残して上げたいと思って撮影をしています」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

塚崎「それでは続いて鈴木さんお願いします」

鈴木「僕は前撮りの写真を主に撮っています。こちらは去年の7月に北海道で撮影した写真です。北海道というと広大な面積を想像すると思うのですが、二人をはっきりと写しつつ広大な場所であるということを伝えるのは案外難しいんですね。いい風景があると二人が小さくて背景が広く写っているという写真になりがちなので、二人がちゃんとわかるような写真を意識して撮影しています。ヴェールも10mくらいのものを持ち込んで撮影しました。強い太陽の光を軽減させる役割も担っています」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

鈴木「よく『ストロボを使って撮ったんですか?』と聞かれるのですが、先ほどの写真もこちらの写真も自然光です。ただ撮る時間が限られているんですね。モデルに当たっている光は夕日で、奥の暗くなっているところは森です。日中は奥にも光が回っているのでこんなに暗くはなりません。日が傾いたタイミングを狙わないとこの写真は撮れないんですね」

塚崎「こういった自分だけの場所を持っておいた方がいいということですね」

鈴木「はい。ここで撮影をしているウェディングフォトグラファーはたくさんいるのですが、この撮り方や時間帯は知らないと思います。同じ場所でもこの2つで写真は全然変わってくるのでそこまで抑えておくことが必要です。」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

鈴木「新郎新婦が大笑いしている写真ですが、僕も撮りながら笑っています。和装の写真ですが二人にとて意味がある野球のグローブを持ってもらいました。こうした崩した写真もいいかなと思っています。二人のこの笑顔を引き出すまでがすごく重要で、初対面だったのですが距離感が近いことがわかっていただける写真かと思います。この二人だからこの笑顔が撮れたということではいけないと思っていて、どんなタイプの方でもその二人に合わせつつ引き出すのがポイントかなと思います」

梅田「和装の写真ってなかなか崩しにくいしバリエーションも出しにくいので、それをここまでできるのはすごいなと思いますね。何かを持たせるとお二人も安心できるし個性も出せるので効果的ですよね」

東京カメラ部10選 鈴木悠介、コンテスト入賞者 梅田厚樹、大貫絢子 × 東京カメラ部運営「Wedding/Family Photo」

塚崎「ここまで写真を見ながらお話を伺ってきましたが、実際ウェディングフォトグラファーとしてやっていきたいと考えている皆さんのために、どうやって集客していくのかポイントを教えていただけますか?」

大貫「わたしは最初、事務所に所属しながら友人の結婚式を撮らせていただいていました。それを友人が拡散してくれて、人伝いでお願いされることが増えました。今ではHPやInstagram、Facebookで集客することができています」

梅田「僕の場合はCRAZY WEDDINGという会社から依頼をいただくことが約半分くらいですね。あと半分は個人的にHPやInstagramからご依頼をいただきますね。お客様が僕のInstagramを見て気になっていただけたときに次にHPを見に来ると思うのですが、いかに説得力を持たせられるかが重要だと思っています。お客様が不安に思うことを分析して徹底的にそれを解消してあげられるような作りになるよう、工夫して作っています」

鈴木「僕は今会社に勤めているのでセルフブランディングはInstagramしかやっていないのですが、もし独立するとなったら何か考えてやっていきたいと思っていますね」

塚崎「こういった方々を東京カメラ部としても応援したいということで、先日ウェディングポートレート、ウェディングフォト、前撮り、恋人写真の紹介をしていく『cherish photo days』を始めました。そういう写真を探している方はここを見てみてください。本日はありがとうございました!」

returnTop