トークイベントレポート

東京カメラ部 10選 2014 写真展:1億人が選んだ、10枚。【Panasonicトークショー】

2014年6月18日(水)~30日(月)、東京・渋谷ヒカリエにて「東京カメラ部 2014写真展」が開催されました。開催期間中のイベントステージでは多くの人気フォトグラファーをお招きして、写真を見ながらのトークショーが行われました。

6月22日(日)に行われたパナソニックのトークショーでは、上田晃司さんにご出演いただき「LUMIX GH4 4Kフォトセミナー」というタイトルで、上田さんにパナソニックの4Kテレビ「TH-65AX800」と4K動画対応ミラーレス一眼「LUMIX GH4」を使った4Kフォトの魅力についてお話しいただきました。

Panasonicトークショー

写真だけでなく動画にも精通している上田晃司さん。

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4K動画に対応したミラーレス一眼「LUMIX GH4」。

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4K動画に対応した高性能コンパクト「LUMIX FZ1000」。

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表示画素数がフルハイビジョンの4倍ある4Kテレビ「TH-65AX800」。

LUMIX GH4

4K動画に対応したミラーレス一眼「LUMIX GH4(以下、GH4 )」と高性能コンパクト「LUMIX FZ1000(以下FZ1000)」(7月中旬発売予定)を使って、人間の目では捉えられない一瞬を切り取る、新しい写真表現についてお話しいただきました。

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4Kとはフルハイビジョン(約207万画素)の4倍の約829万画素もの緻密な画素数で表示できる動画の規格です。「動画とは1秒間に30コマの静止画を並べたもので、それをつなげることで動いているように見えています。4K動画とはその1枚が約829万画素の画質ということなんです」

4K動画の魅力を伝えるために、中央スクリーン(ハイビジョン)から展示約されていた4K対応の「TH-65AX800」に切り替え、最初に4Kの動画作品を紹介していただきました。

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まずはLUMIX GH4を4Kテレビ「TH-65AX800」につないで、4K動画が流されました。「色も鮮やかで深みがあります。4K動画には、ひとつ難しい点があります。それはピント合わせです。画素数が多くなるとよく見えるためピントがシビアになります。だけど、GH4とFZ1000は“空間認識AF”という撮影空間の被写体距離を瞬時に算出して、あらかじめピント位置を予測してピントを合わせ続けるAFを搭載しているので、難しいピント合わせも簡単にできてしまいます」

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鳥の声が聞こえる動画です。「色鮮やかな鳥です。GH4の別売のマイクを付けると音がものすごくよくなります。ショットガンマイクになったり広範囲の音を拾ったりすることができます」

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動画を止めて画質についてお話しいただきました。「色が鮮やかできれいに出ていて、細かい部分の描写力が高いことがわかると思います。きれいな動画を撮るポイントはシャッタースピードが大切になります。動画は1秒間に30枚の静止画を並べたものなので、シャッタースピードを遅く設定する必要があります。30枚の写真を並べたとき、1枚1枚がすべて動きが止まっているとパラパラ漫画のようにカクカクした動きになります。ですので動画をメインで撮る場合はシャッタースピードを1/50秒~1/60秒に設定するのが理想的です」

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「背景を大きくぼかすためにF1.4のような明るいレンズを使いたいとき、明るい日中はシャッタースピードが落とせません。ですので減光するNDフィルターを使います。LUMIXには7-14mm F4という描写がきれいな広角レンズがあります。これの唯一の欠点はフィルター枠がないためNDフィルターが使えません。それで考えたのが、マットボックスにNDフィルターを装着して使うことです。これを使えばフィルター枠がない7-14mmでも、NDフィルターやPLフィルターが使えるようになります」

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NDフィルターを使用した動画を見せていただきました。「パソコンを使って動画をつなぐだけで簡単に旅の思い出を作品という形に残すことができます。4Kの動画を撮っていただけたら撮りっぱなしにするのではなく、ぜひ“編集”という作業にもチャレンジしていただきたいと思います」

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「動画の編集は難しくありません。撮った動画のいらない部分を切って、並べていくだけです。トランジッションという動画と動画の間につなぐエフェクトを入れるだけで、きれいに1本の動画としてまとまります」

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「4K動画を撮るときにいちばん気をつけていただきたいことが、メモリーカードのスピードです。写真を撮るときは“READ”と“WRITE”という転送速度を気にされると思います。しかし動画はUHSスピードクラスが大切になります。Uの字の中に3と書いてある部分を見てください。これは1秒間に30メガ書き込めることを表しています。これはU1という1秒間に10メガ書き込めるものも売っています。しかし1秒間に10メガの転送速度だと、もしかしたら動画撮影中に止まるかもしれません。4K動画に挑戦する方は、必ずUHSスピードクラスがU3のSDカードを使ってください」

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続いて4Kフォトの魅力についてお話しいただきました。「4K動画は秒30コマを連写していて、1枚の画素数は約824万画素です。これはA3に余裕でプリントできるサイズです。4Kフォトとは、4K動画で撮影したあとに動画の1部分を切り出した静止画を指します」

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「鳩を4K動画でずっと撮影して飛んでいく瞬間だけを切り取れば、このような決定的瞬間の静止画を作ることができます。静止画ではなかなか撮ることが難しい決定的瞬間を楽しむことができるのが、4Kフォトの最大の魅力なんです。このようなシーンを通常の静止画で撮ろうとすると、撮れなくはありませんが本当に難しいと思います。動画から切り取れば確実に撮れます」

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水族館で撮影した4Kフォトです。「水族館撮影で簡単そうで難しいのがイルカなんです。イルカはプールのどこから出てくるかわかりません。急に出てきます。これを静止画で撮ろうとすると、後ろにピントが合ってしまうこともあります。だけど4K動画で撮っていれば、1/30枚の中からベストショットを選ぶことができます。でも水族館のイルカくらいなら、動きものの撮影に慣れている方なら撮れるかもしれません」

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続いてハワイで撮影した4Kフォトです。「静止画を連写で撮影すると、連写性能が高い一眼レフでも秒15コマくらいだと思います。どうしても1枚1枚の間が抜けてしまいますが、その間に波の形は変わってしまい人と波の形がきれいなベストショットを撮るのはとても難しいと思います」

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鳥が飛んでいる4Kフォトです。「(鳥が飛んでいる一瞬の動画が流れる)見えましたか? 今鳥が横切ってい飛んでいきましたよね? この動画をコマ送りで見てみると…じつはこの鳥は餌を捕まえて食べているんです」

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「この一瞬は、普通の人にはまず撮れません。僕も動画を撮るだけで精いっぱいで、よく見たら餌を獲っていたんです。あらかじめ被写界深度は深めにしておくだけで、あとは被写体を追えば決定的瞬間を撮ることができます」

4Kフォトならカメラを買った初心者の方でも、簡単にベストショットが撮れるそうです。「子どもの運動会のために初めて一眼カメラと望遠レンズのダブルズームキットを買ったとします。カメラを買ったばかりの人が運動会でベストショットを撮ることは難しいと思います。だけど、動画の枠内に入っていれば、その中からベストショットを切り出すだけでいいのです。だれでもプロカメラマンが撮ったような写真にできるのがいちばんの魅力ですね」

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4Kフォトを撮るときの注意点を教えていただきました。「4Kフォトを楽しむには4K動画とは別の注意点があります。先ほど4K動画を撮るときは、シャッタースピードを1/50秒~1/60秒に設定してくださいとお伝えしましたが、被写体の動きを止めるためにはシャッター速度を速く設定する必要があるので、4Kフォトメインで撮影するときはシャッタースピード優先AEで最低でも1/1000秒~1/2000秒に設定します。そして輝度レベルを0-255にします。4K動画はピント合わせがシビアなので最初はF5.6~F8くらいまで絞り込んだ方がピントは合いやすくなります」

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実際に4K動画から4Kフォトを切り出す手順を見せていただきました。「4K動画をコマ送りで流しながら、切り取りたい部分が見つかったらメニューボタンを押すと“表示している画像を静止画像として保存しますか?”というメッセージが表示されます。これを保存するだけです。本当に簡単なんです」

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最後にGH4の魅力について教えていただきました。「スペックではなく、私が撮った感想をお伝えしたいと思います。画素数だけ見ると前モデルとは変わっていません。でも明らかにディテール部分のシャープさとか解像感が上がっている印象を受けました」

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新しい15mmF1.7という単焦点レンズを使って撮った猫の写真です。「こちらを見ていただくとわかるように、絞り開放で撮っていてもピントが合っているところは芯があり毛並み部分がシャープに写っていることがわかります。毛並みの解像感がすごくよく出ています。風景など撮るときもすごくいいと思います。夜景もきれいですし、ビルひとつひとつの細かいディテールまで再現されています」

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「GH-4は、自分の色を作る自由度が高いですね。そしてシャドウハイライトコントロールというトーンカーブをいじる機能も搭載しているので、思い通りの色を作れるカメラだと思います。先ほど解像度は前モデルから上がっていないと言いましたが、ダイナミックレンジは上がっています。ですので明るい部分から暗い部分までしっかり描写できるようになりました」

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色を作る設定を実際に見せていただきました。「僕はこってりした色の写真が好きです。ですので、色はコントラストを上げて彩度は下げる設定によくしています。ホワイトバランスは10000Kくらい暖色で撮ることが多いですね。プリセットで用意されているホワイトバランスではなく、色温度で指定したほうが自分のイメージ通りの色になります。イメージ通りの高画質を撮れるところが、GH-4の最大の魅力ですね」

上田晃司さん、4K動画のきれいさと4Kフォトの楽しさを教えていただきありがとうございました。


(写真・文 加藤マキ子)

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